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国内で活躍する同窓生(敬称略)
琵琶(黒田)名里子 (昭和 60年卒)    宮城県仙台市在住

仙台で点訳始めました
平成28.10.29 京浜同窓会にて
(前列最も右が筆者)
 
 
 私は昭和60年に朝日を卒業し、今年節目の半世紀(50歳)を迎えました。ここ仙台に来てからは12年が過ぎ、人生の約4分の1を仙台で過ごしたことになります。

 今年、昭和60年卒は朝日高同窓会の総会当番学年で、岡山在住の人を中心に11月の総会に向け準備に追われているようです。遠く岡山から離れてはいますが、同期のLINEグループでその準備状況などが刻々と伝えられ、その様子を窺い知ることができます。皆、仕事や家事で忙しい中大変だろうなと思う反面、高校の運動会の仮装準備のようで羨ましくもあります。そういえば、昨年の京浜同窓会でも同期が幹事で、私は当日のみ飛び入りで参加させてもらいました。高校時代のつながりではなく、大人になってから改めての出会いにもかかわらず大変仲良くしているのを見て、卒業から30年を経て再会の機会を作る同窓会の当番学年システムに感心しています。

 思い起こすと18歳の頃、夜遅くまで、あるいは早朝から仮装の準備に励んでいました(泊まった強者もいた?)。日曜日も学校に行きました。クラスが団結して日常とは異なる時間を過ごしたことは、今でも鮮明に記憶に残っています。仮装では、男子をいかにカッコ良くしてあげるかを考える優しいクラスもありましたが、私たちのクラスは、いかに女装させるかに腐心していました。今さらですが、あの時は慣れないストッキングとスカートをはかせちゃって、本当にごめんなさい。

 さて、仙台はご存知の通り「杜の都」と呼ばれる緑の多い都市です。街がコンパクトに徒歩圏内に収まっていて、食べ物もおいしく、とても住みやすいです。よく知られているものとして、七夕まつり、笹かまぼこ、牛タン、ずんだ餅、牡蠣・ホヤといった海産物・・・、やはり食べ物がたくさん思い浮かびます。忘れてはならないのが、伊達政宗。今年生誕450年を迎えます。政宗は仙台のシンボルでもあり、至る所に騎馬像や三日月がデザインされています。仙台にお越しの際は、ぜひ、それらを探してみてはいかがでしょう。

 七夕まつりは、実際に見るまではあまり期待していませんでした。しかし、商店街に並ぶ吹き流しは結構な迫力があり、毎年見ても飽きません。(写真の吹き流しにも政宗がいます!)

 光のページェント
 
 そして、あまり知られていませんが、12月の「光のページェント」も見応えがあります。街路樹ででき上がった光のアーチは奥行きを感じられ圧巻です。牡蠣などの冬の味覚もありますので、是非、七夕だけでなく、「光のページェント」にも訪れてもらいたいです。

 仙台での私の生活の一部となっているのが「点訳」です。現在、点訳奉仕員として、宮城県視覚障害者情報センター(http://www.miyagi-sikaku.org)を拠点に活動しています。仙台に来てからは、何か自分のライフワークになるものを探していました。そんなところに長年受験生を支えている点訳グループの新聞記事を見かけました。「目が不自由だという理由で、志ある若者が理数系大学の進学をあきらめねばならない時代があった。」と始まるその記事は、図形の表現の困難さや時間との戦いになる点訳作業、利用者さんとの交流が記され、最後は「才能ある若者がまた一つ、新しい扉を開くことを願いながら。」と、結ばれていました。これに大いに刺激を受け宮城県の点訳者養成講座を受講、現在に至っています。
 
 家紋『上がり藤』を点図で記したもの

 点訳というのは墨字と呼ばれる通常の文章を6点点字で表記するものです。6点点字は縦3個・横2個の合計6個の点で、五十音はもちろん、濁音、半濁音、拗音から数字、アルファベットまでのすべてを表します。例えば「私は東京へ遊びに行く。」という文章を点訳すると、「わたしわ とーきょーえ あそびに いく。」となります。点字は読みの音や長音を使うこと、マスあけで読みやすくされていることがわかるでしょう。マスあけには国語文法に則ったルールがありますし、もちろん漢字を正しく読まなくてはなりません。そんなわけで、点訳を始めてからは、これまでにないほど国語辞典を引き、意識することのなかった日本語の文法を確認し直す日々です。

 点訳するものは書籍だけではなく、家電の取扱説明書やプライベートな書類まで多岐にわたっています。数学や楽譜など専門性の高い点訳もあり、私の所属している奉仕会では、数学、英語、楽譜、絵本のグループが活発に活動をしています。さらに点図という表現手段もあり、この点図が縁で、私はここ数年、全盲の大学教授の講義のお手伝いを続けています。また、中途視覚障害の方のための点字訓練のお手伝いもさせてもらい、点訳からどんどん世界が広がっています。

 2011年の東日本大震災発生時も私はここ仙台にいました。震災当日は広範囲の停電で情報がほとんど入らず、津波による大変な被害や火災発生など全く知らないままで、星空が異様に美しかったことを覚えています。大震災から6年半が過ぎた今も、宮城県では震災関連・復興関連のニュースが流れない日はありません。

 私たち昭和60年卒は4年に1回、夏のオリンピック後の年末年始に同窓会を開いています。大震災翌年の同窓会で高田正規先生がおっしゃったことが印象に残っています。それは、勤労としての「つとめ」だけではなく、自分の「つとめ」を果たしていくことについてでした。すぐさま、大震災のことが私の頭をよぎりました。震災後、被災地でのボランティアに出掛けることもできなかった私は、点訳に携わることで救われました。これからは、点訳が自分の「つとめ」だと言えるよう、日々精進していきたいです。
 
 最後になりましたが、人生半世紀を迎えた同期諸君、11月の総会が盛会となりますよう、ここ仙台の地から祈っています。東京オリンピックのあとか還暦のお祝いには、温泉宿でパアーッと同窓会をやりましょう!(2017年9月:記)

七夕まつりの風景 
   
岡山朝日高校同窓会公式Webサイト